突然ですが!
「Web3って何?」と質問されたら、あなたは何と答えますか?
ちまたでは「Web2.0が終わって、Web3.0の時代が到来する」などと言われていますが、具体的に何がどう違うのかを理解していない人も少なくないでしょう。

別に理解してなくても問題ないでしょ?
確かにそうですが、Web3を理解することで新しいビジネスチャンスや、時代の波に乗れる可能性があるんです。
ちょっとした革命の真っ只中にいる私たちは、今何を考え行動するべきなのでしょうか?
この記事では、Web1.0〜3.0までの歴史を学びつつ、今後の課題や時代の変化を考察していきます。
Web3とは?キーワードは「分散」
Web3(Web3.0)は「Gavin Wood(ギャビン・ウッド)」が2014年に作ったもの。
Wikipediaには、以下のように書かれています。
引用 2014年に「ブロックチェーンに基づく分散型オンライン・エコシステム」を指して作った造語である。 参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/Web3 |
ギャビン・ウッド氏は、ブロックチェーンの「イーサリアム」の共同創設者で、Web3のPolkadotやKusamaの創設者でもある、凄腕のコンピューター科学者です。
ギャビン氏は非営利団体「Web3ファウンデーション」も設立しており、Web3への取り組みを積極的に行っています。
このWeb3、日本語では「分散型インターネット」と呼ばれています。

インターネットってもともと分散してるイメージだったけど…
確かに誰でも利用できるインターネットは、分散しているとも捉えられますよね。なぜ、今になって分散がキーワードになっているのかは、Web1.0から振り返ると見えてきます。
Web1.0:インターネットが普及した90年代
Web1.0は、1990年代のインターネットが普及し始めた時期を指します。
Eメールやホームページが誕生したタイミングです。それまでの情報収集源と言えば、テレビや新聞、雑誌などでしたが、インターネットの普及によって、迅速に情報を届けられるようになりました。
しかし、情報源は変わらず一部の人が握っています。テレビ局や政府などの大物が発信者であり、インターネットはその情報を広めるツールに過ぎませんでした。
簡単に言えば、発信者から受信者への一方通行の時代です。
ほとんどの人にとって、インターネットは見るためのものであり、テレビを見るのと同じような感覚でした。
Web2.0:個人の発信力が高まる2000年代
テクノロジーの進化によって、インターネットの通信速度が向上しインフラも整ったのが2000年代。
Eメールでのやり取りから、SNSで画像や動画をやり取りできる時代になり、人々がインターネットを利用する機会も急増します。スマートフォンの登場により「常時インターネット接続」が当たり前になったのもこの時期です。

Web1.0との大きな違いは、全ての人が発信者になれるインフラが整ったこと。
増え続ける人口に比例するかのように、インターネット上には個人の投稿が増えました。
かつては大企業が大枚をはたいて制作したホームページも、個人が無料で作れるようになり「何が真実なのか」が分からなくなり始めます。
同時に「大企業=信頼できる」という幻想も崩れ始めます。スマホで手軽に発信できるようになったため、大企業の不正やトラブルが一気に拡散されてしまうようになったのです。
90年代であれば「大企業はみんなの憧れの的」でしたが、Web2.0に突入してからは、仮面を剥がされてしまい、より真摯な経営が求められています。
芸能人も同様で、ちょっとしたミスがSNS上で拡散され「謝罪動画」をアップしても「心が入ってない」と見破られてしまうようになりました。

個人の発信力と透明性が求められているのが分かります。
その一方で「できる個人」を装い、SNSで「楽して月収100万円稼ぐ方法を教えます」などと謳い、詐欺行為を行う人も増えました。顔写真から運転免許証なども偽装できる時代が故の問題もたくさん増えた現実があります。
Web3.0:分散で中央集権型とは別の仕組みが誕生
Web3では、いよいよ中央集権型の仕組みが終わろうとしています。
「中央集権型」を理解するには、銀行をイメージしてみてください。
銀行は、お金の貸し借りや管理を自社で行っています。そのため、私たち利用者には、内部がどのようになっているかを把握することはできません。把握できてしまうと、悪用されるリスクもあるので仕方がないことでもあるでしょう。
Web2.0までは、全ての仕組みが中央集権型でした。Twitterの管理者はTwitter社であり、ユーザーではありませんよね。
ところがWeb3では、個人でデータを管理したり所有できるようになったのです。これこそが分散であり、新しい仕組みの誕生を意味しています。
シンプルに言うと「管理者を必要としない仕組み」です。

この仕組みの土台になっているのが、ブロックチェーン技術になります。
ブロックチェーンは、利用者全員がデータを分散して管理できる仕組みです。(P2P方式)不正行為を行おうにも、全員がデータを持っているため、すぐに気づけるようになりました。
従来の中央集権型では、管理者のデータを変えてしまえばそれまででした。
この点、ブロックチェーンは、Aさんのデータを変更しても、BさんやCさんのデータには反映されないため「Aさんのデータは不正に変更された」と証明できるようになったのです。

結構画期的だと思いませんか?
中央集権型の銀行では、ハッカーに侵入されてAさんの残高を変更されてしまうようなトラブルが起こりえますが、ブロックチェーンでは限りなく不可能になったのです。
個人の発信力が強まったWeb2.0を経て、浮き彫りになった様々な問題は、中央集権型の仕組みによるものも多かったと思います。
時代はより分散にフォーカスして進化しているとも言えるでしょう。
Web3を代表する新しい技術
ここではWeb3を代表する革新的な技術を見ていきましょう。
- NFT
- メタバース
- Defi
- DAO
- SocialToken
NFT
「NFT(Non Fungible Token)」の略で、非代替性トークンを意味します。
それまでのデジタルデータは簡単に書き換えが可能だったため、それ自体に大きな価値はありませんでした。すぐにコピペできるからです。
NFTはデジタルデータの中に、固有の価値を与えられ、なおかつブロックチェーン技術でコピペできなくしたようなものです。
デジタル上では「ムンクの叫び」をいくらでも複製できますが「本物のムンクの叫び」という情報を付与できるため、価値を生み出せるようになります。これによりNFTアートが生まれ、数十億円で取引されることも。

様々なデジタルデータをNFT化できます!
そのため、過去にはTwitterの創業者である「ジャック・ドーシー」が、自身の「はじめてのツイート」をオークション出品し、291万ドル(2億円超!)で落札されました。

内容は「Just setting my twttr(たった今Twitterの設定ができた)」という1行の文章のみ。バカバカしいほど高額で落札されていますが、今後NFTが躍進を続ければ、徐々にこの価値が理解できるようになるかもしれませんね。
メタバース
メタバースは、「Meta(超越)」と「Universe(世界)」から作られた造語で、インターネット上に作られた仮想空間を意味します。
もうわけが分からなくなってきましたね(笑)
例えるなら、2009年に公開されて大ヒットした細田守監督のアニメ作品「サマーウォーズ」の世界観かなと。作品では仮想空間「OZ(オズ)」が登場しますが、メタバースもそれと似たようなイメージです。
インターネット上に、自身の仮想キャラクター「アバター」を作成。
アバターを用いて、仮想世界の中で交流し合うというのがメタバースです。ゲームやバーチャルオフィスなど、様々な分野に広がりつつあります。
現状のアバターは、アニメ風のいかにもなデザインですが、技術が進化すれば、それこそ映画マトリックスのように、現実と仮想空間の区別がつかない世界が実現するかもしれません。
現実世界だけでなく、仮想空間にも自分を「分散」する時代がすぐそこまで来ています。
Defi

「DeFi(Decentralized Finance)」とは、日本語にすると「分散型金融」になります。(デフィと読む)
前述したブロックチェーン技術を使って、管理者がいらない金融サービスになっているのが特徴です。金融機関や国政にコントロールできないため、個人の資産を守りやすいメリットがあります。
日本円は財政破綻してしまえば価値をなくしますよね。日本円だけでなく国や銀行が発行する紙幣には、同じような性質があります。
この点、Defiならアフリカのサバンナに住む人も、ニューヨークに住むアメリカ人も同じ価値で取引ができるのです。仲介役が不要になったことで、送金の手数料も安くなりました。
現状では、仮想通貨自体の価値が乱高下しているため、世界共通の通貨として機能するにはまだまだ時間がかかりそうです。また、国が利用を禁止する可能性などもあるでしょう。
Web3らしい素晴らしい思想のもと生まれたDefiは、今後に注目といったところです。
DAO

「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」は、日本語で「分散型自立組織」を意味します。(ダオと読む)
分散型で、管理者が不要という特徴からブロックチェーン技術を使った、ビットコインやイーサリアムもDAOに分類できますね。通常の社長がトップの会社とは全く異なる思想から生まれているのが興味深いです。
中央集権型で育った世代から考えると、DAOを理解するだけでも苦労しますよね。
分かりやすいDAOの例でいうと「Augur(オーガ)」が挙げられます。

Augurは「予測」に特化したプラットフォームで、誰でも参加が可能です。

「それの何がすごいの?」と思いますよね!
今まで、インターネット上で複数の人と、何かを予測する時はプラットフォームの管理者が存在しました。管理者は情報を変更できるため、信頼性にかける問題があったのです。
DAOであれば誰もが平等な立場で予測でき、結果を見ることができます。
活用価値は今後もどんどん広がっていくと予想されています。
一部で話題になっている ZOZOの生みの親 前澤友作さんが立ち上げた『MZDAO』というものがありますが現時点ではDAOではないと本人が公言しています。
徐々にDAO化を図っていくようなので気になる方はチェックしてみてください。

SocialToken
「SocialToken(ソーシャルトークン)」とは、コミュニティ内のみで使える仮想通貨のこと。
- アイドルのファンクラブ限定
- 会員制焼肉店の会員限定
- オンラインサロン限定
このように特定のシーンでのみ使える通貨になっています。
例えば、ビットコインは様々なシーンで使えますよね。
コミュニティトークンは、保有していること自体にも価値があり「トークンを持っている人限定で閲覧できる情報」などもあります。
通貨としての価値だけでなく、同時に会員資格としても機能するなど、使いみちは様々です。
Web3の将来性は?現状の問題点
可能性を秘めたWeb3ですが、問題も抱えているのが現状です。
- 各国の法整備に時間がかかっている
- トラブルは自己責任
- NFTバブルの崩壊・飽和する可能性
各国の法整備に時間がかかっている
多くの国では、Web3に対する法整備が整っていません。
考えてみれば、中央集権型の国が非中央集権型のWeb3を受け入れるには、相当な時間とトライ&エラーが予想できます。
そのため「今は合法でも来月は違法」になるサービスや仕組みも出てくるかもしれません。
各国でWeb3に対する施策が異なるので、様子を見ながら柔軟に対応していきましょう。
トラブルは自己責任
管理者がいないため、トラブルは全て自己責任で解決しなければなりません。
これは悪事を働こうと考えている者からすると、かなり好都合となってしまいます。詐欺や偽物のNFTを販売して稼ぐような事件は、実際に起っているようです。
また、仮想通貨で言えば、パスワードを忘れてしまうと、誰に問い合わせることもできず入出金ができなくなります。Web2.0の時のように、管理者にパスワードの再発行も現状できません。
管理者がいないということは、メリットもありますが、些細なことも他人任せにできないデメリットもあるのです。
NFTバブルの崩壊・飽和する可能性
NFT最大のマーケットプレイスであるOpenSeaは、2021年5月のピーク時から取引量が99%も減少していると発表しました。
そのため「NFTバブルは崩壊した」というような意見も多く、今後の動向が注目されています。本当に革新的な変化をもたらすのか、それとも単なる色物で終わるのかを問われているようです。
いずれにせよ、NFTは現状とても不安定であり、落ち着くまでには少し時間がかかるでしょう。
まとめ
Web3のキーワードである「分散」は、今後様々なシーンで否応にも対応が求められるかなと。
インターネットが普及し始めた90年代は、多くの人が「インターネット=怪しい」と感じていたものです。スマートフォンに埋め込まれたGPSに対して「プライバシーの侵害だ」と問題視したWeb2.0も、今は懐かしさすら感じます。
テクノロジーの進化によって、時代が大きく変わる時は、いつも独特の怪しさが漂っているもの。

Web3も賛否両論で話題を集めていますよね。
しかし、Web3が人々を良い方向に進めるなら、私たち自身が変化を求められるはずです。今後どのようになっていくのか。Web3の動向に注目しつつ、自分なりの活用方法がないか検討してみてはいかがでしょうか。
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